失われていく子供の中の『マップ』とは。 『NPO法人 子ども&まちネット』理事長 伊藤一美

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子どもが育っていくにはどんな環境であるべきか。『NPO法人 子ども&まちネット』は子ども・子育て支援、まちづくり分野で活動する市民リーダー、行政職員、研究者、学生らで作るネットワーク。なにが子どもにやさしいまちづくりに必要なか。団体のこれまでの歩みもあわせて挑戦されている活動を理事長の伊藤一美さんに話を伺った。

現在60名ほどの会員がいるが最初は世話人5~6人のスタートだった。そもそものきっかけは、1999年(平成11年)、当時、市の外郭団体だった名古屋都市センターがスタートした市民研究員制度。市民ならではの視点で一つのテーマを研究するものだった。初年度だったということもあり、センターが知っている市民に声掛けされた。その時のテーマが「地域コミュニティ」だった。

地域コミュニティの中で育つ子ども女性2人、男性2人の4人が1年間、チームを組んだ。メンバーは建築会社社員、社会福祉法人職員、助産師、プレーパーク活動や子ども文庫などの活動をし、子どもの参画を日本の中で訴えてきた女性。4名の共通する分野が“子ども”ということで、「地域コミュニティの中で育つ子ども」を調査研究テーマにされた。子どもが健やかに育つには、どんな地域コミュニティであるべきかを1年考える年になった。

子育てしながら子育て情報を発信

1994年(平成6年)から、私自身は子育てをしながら、名古屋の子育て情報を母親の視点で編集する活動を、同じ母親約10人とずっと行ってきた。その活動を市民研究員の方が聞きつけ、研究員の活動に合流した。一緒に活動するなかで、彼らが蓄積した多くの人脈に、自分が情報誌の取材を通して作った人脈や地域資源も加えることができた。研究員からは、東京の「ゆう杉並」というユースセンターが先駆的なことをやっているということなども教えてもらい、小さな子どもだけではなく青少年期の若者にも地域に居場所が必要だということを学んだ。でも都市センターの市民研究員の任期は単年度。1年が終わり報告書を作ると任期切れ、解散になってしまう。これでは蓄積したものが霧散してもったいない。そこで市民研究員や、自分と同じように途中から入ったメンバーと共に、みんなが1年かけて作って来たものを継承する任意団体を作ることになり2000年(平成12年)に『子ども&まちネット名古屋』ができた。

ネットワークに必要な顔の見える関係

発足して数年はネットワークづくりに心がけた。名古屋では、地域でいい活動をしているけれど、お互いの顔が見えない団体が多くある状態だった。いまだとインターネットでサクサク検索できるが、当時はそういう状態ではなかった。まずそうした人たちが顔の見えるネットワーク環境を作ることになった。私も子育て情報誌を作りながら、その必要性をずっと感じていた。子どもが2、3歳の時に子どもの手をひいて名古屋じゅうを色々取材して歩くと、「逆取材」を受ける経験があった。取材した先の団体のスタッフのほうが長い期間、子育て支援をされているのに、「こないだ新聞に載っていた団体知ってる?」「ねえねえ、どういう人か教えてよ」と聞かれたりした。その時、こんな若輩の私に聴かず、なぜ自ら知ろうとしないのか?なぜ、いっしょに連携しようとしないのか?と疑問に思ったものだった。だからネットワークを作っていくときには、顔が分かる関係を大切にしようと思った。

若い人を代表にするとその団体は長持ちする!?

世話人メンバーの中で当時一番若かった。若い人を代表にするとその団体は長持ちするという、たったそれだけの理由で任意団体発足の際、私が代表を仰せつかった。また最初に法人格を取ってしまうと事務的な作業に時間をとられてフレキシブルに動けないというアドバイスが他の役員からあった。だから最初は任意団体で活動していくことで話がまとまった。フォーラムを開催し、会員同士が名刺交換の場をつくり、一つの課題でみんなで話しあう場もつくり、会報を丁寧に作り名古屋で活動している人たちのデータブックを作るなど、任意団体でスタートして5年間はネットワーク作りに力を注いだ。5年が過ぎ徐々に活動を認知していただけるようなり、法人格を取らないと社会的な責任が取れなくなるということで2005年に法人格を取得した。

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