発酵により、食材は旨味を高め、深い味わいと風味を生み出します。 今回は、数々の知恵が集結した「糠漬け(ぬかづけ)」をクローズアップしました。 栄養価も高い「糠漬け(ぬかづけ)」 味噌漬け、酢漬け、粕漬け、辛子漬け。日本には多くの漬物が存在します。 冷蔵が適わなかったずっと以前に考え出された、調理及び保存方法のひとつです。 中でも一際栄養価が注目されている糠漬けには、糠に塩、水を混ぜ合わせた糠床を要します。 この糠床の中に野菜などを漬け込んだものを糠漬けと呼びます。 糠漬けにするメリットとして挙げられるのが、空気から遮断されるために食材を腐らせることなく長期保存が可能であるということがまずひとつ。そして、浸透圧で程よい加減の塩味に仕上がるという点です。 乳酸発酵されているので、独特の香りと栄養価の高さは漬ける前と比較した場合、格段に向上しています。 ここには注意! 糠漬けを食べるとき 「塩辛いものは身体に良くない」とも言われますが、食べ方を誤らなければ問題は起こりません。糠漬けを食べるときにはこんな点にご注意を。 さらに風味をプラスしようと醤油をかける これでは浅漬けで食べたとしても意味がありません。 食べ過ぎてしまう ご飯のおかず、お茶請け、酒の肴と食べ過ぎてしまえば、身体に良いものであっても毒に変わります 程よく食べていれば、糠漬けが健康を害することはありません。 デザートには果物を 糠にはカリウムが含まれており、漬けると同時に野菜にカリウムが吸収されます。 カリウムにはナトリウムを排出する働きがあり、塩分過多の解消サポートを行うのです。 果物にはカリウムが含まれているので、「糠漬けを食べたら、デザートは果物」と習慣付けると安心です。 腸に好影響を与える「植物性乳酸菌」 糠には、植物性乳酸菌が含まれているため、程よく食べると腸の働きに刺激を与えてくれます。 糠に漬ける食材は野菜だけとは限らず、肉や魚、ゆで卵などもよく食されています。 これらのたんぱく質が豊富な食材に乳酸菌をプラスできるならば、より理想的な食卓に近づきます。 また、ビタミンBが摂取出来ることは江戸時代から知られており、積極的に糠漬けが食べられていたという記録が残されています。 ちょっとしたひと手間で味に変化を 糠床に鷹の爪を加えたり、ビールを足して風味をさらに引き上げたりと様々な工夫が行われています。 果物の皮や昆布を足すというお宅もあるようです。 香りが豊かになったり、味わいがまろやかになったりと、糠床毎に美味しさが異なる楽しみも格別です。 いずれの場合にも発酵を促す微生物は生きているため、糠床に糠を足す、毎日糠床をかき回して存分に呼吸させてあげることを忘れてはなりません。