アジア各国では、それぞれに醤油に相当する調味料が存在します。 私達が口にすると初めての味に驚きを思えると共に、何故だか懐かしくもあるのです。 各国の醤油とは、如何なるものなのでしょうか。 中国 生抽 一言で中国とはいえ、あの国の文化の奥深さは計り知れません。 料理もまた然り。広東地方では、醤油に該当する調味料を「生抽」といいます。味以上に彩の美しさを重視する広東料理に合わせ易く、色だけを見れば出汁のようです。 しかしながら、味はしっかりとした塩味が利いているので、使い過ぎに注意しなければなりません。この生抽は、アジア圏における醤油の元祖といわれています。実際に、日本の醤油醸造は中国から伝えられたのが始まりです。 また、「老抽」と呼ばれる甘味の強いタイプもあります。日本の九州地方の醤油は、この老抽の影響を強く受けたと考えられています。 韓国 カンジャン 香りや見た目は醤油によく似ているカンジャン。元々は甕を使い、豆麹を発酵させて醸造していました。後に日本の大量生産方法が採用され、季節に関係なく、大量のカンジャンを短期間で造ることが出来るようになりました。 韓国でも刺身を食べますが、その時に好まれているのがヤンジョカンジャン。自然発酵を行い丁寧に醸造されたもので、深い風味が味わえます。 それ以外に、100%大豆使用したクッカンジャン、一番大衆的なチンカンジャンなどがあり、少しずつ味わいが異なります。 インドネシア ケチャップ インドネシアの最大の娯楽は、「甘いものを食べること」と言われるくらい、人々は甘いものが大好きです。だから、調味料も甘味が強いものが断然多いのです。 調味料を総称してケチャップと言いますが、日本でいうところの醤油である調味料は「ケチャップ・アシン(しょっぱいケチャップ)」とわざわざ呼ばれるほど。因みにトマトを原材料とする万国共通のケチャップは、「トマト・ケチャップ」と差別化されています。 タイ シーユー タイの調味料といえばナンプラーが有名ですが、忘れてはならないのがシーユーです。大豆から造られており、ナンプラーが苦手な日本人にも安心な味です。 ただし、醸造の際に砂糖を加えている点がタイ風。タイ食材のお店を訪れれば、日本でも入手できるようになりました。ライスヌードルを用いたフライドヌードルやフライドライスの調理に欠かせません。 フィリピン トヨー フィリピン料理は真に多彩ですが、味付けはとても淡泊です。それを自分の好みの調味料で調整するのがフィリピン風。その時に活躍するのがトヨーです。 大豆と塩のみを原材料とし、非常に濃厚な大豆の旨味が特長といえるでしょう。 日本人にとっては、一番馴染みやすいアジアの醤油かもしれません。国が変われば、風味も変わる醤油。色々と味探訪するのも外国旅行の楽しみです。 でも、無事に自宅に帰りつき口にする正真正銘の日本の醤油の味には、心の底から安堵することでしょう。これぞ、日本の誇りです。